人を選ぶ(本編)

人を見るにあたり、階層として捉えます。

1)コンピテンシー
 優れた成果を創出する個人の能力・行動特性。
 その人がどんなシチュエーションで、
 どういったアクションを取りがちかという
 行動パターン。
 変革志向か成果志向か戦略志向に分けられる。

コンピテンシーを見抜くためには、とった行動に
フォーカスした質問を行う。
質問の回答に対して、
「あなたはそのとき、何をしたの?」と質問で
コンピテンシーが見えてきます。
そのときにカットインというテクニックを駆使し
会話の途中でもうちょっとそこの話聞かせてとか
質問をして聞き出します。
カットインすることのメリットとしては
想定外のタイミングの質問により
採用対象者の素が出やすくなります。

2)ポテンシャル
 好奇心、洞察力、共鳴力、胆力で尺度を
 図ります。

・好奇心
 貪欲な知りたがり
 サブセットは、「吸収」と「更新」。

・洞察力
 情報収集、整理し、意味を理解することに喜び
 サブセットは、「集める」と「つなげる」で
 つなげるとは、地頭の良さと近似する概念。
 一見つながりのない事象の共通点を見い出す
 ことなど楽しそうに取り組みます。

・共鳴力
 「結ぶ」ことに強い喜びを感じる
 サブセットは、「結ぶ」と「響く」で
 相手との結びつきを押さえた説得が得意で
 あったり、人と人を紹介して結びつける。
 また、エネルギーの交換を無意識に求め
 どんどん高まっていくようなタイプ。

・胆力
 サブセットは、「腹決め」と「律する」で
 逆境が大好物で腹をくくったエピソードが
 多々ある方。
 どれだけ成功しても努力を怠らない
 など、自分のことを信じているが信じていない
 といったパラドックス状態を楽しんでいる。

3)ソース・オブ・エナジー
 使命感と劣等感
 ここまでたかだか数回の面接で確認することは
 難しく一般社員としての採用であれば、不要と
 考えます。
 サクセッションプランの一環として入社後に
 時間をかけて確認する方法で十分です。

会社のカルチャーの物差しとしては
「評価システム」と「権限移譲システム」が
あります。これらを理解することで
どういった方を求めているのか分かりますので
再度、確認をしてください。
チームワークが得意で自己犠牲ができる人を評価
するのか、個人としての結果や業績貢献が高い人
を評価するのか。固定給が大きくてボーナスでは
差がないのか、ボーナスにものすごく差をつける
のかなど、会社のカルチャーが色濃く反映されて
います。
また、権限移譲システムにおいても中央集権的な
意思決定なのか、権限移譲をかなりしているのか
などによって、どんな方がフィットするのか
わかります。
すなわち、面接でどんな確認や説明をすれば良い
のかわかります。
以上より、説明をしなかった経験・知識・スキル
の確認(履歴書と経歴書で分かるため、不要)や
志望動機など聞くことなく、ポテンシャルまで
確認するようにしてください。
変化球としては
・リファラル採用
 社員の友人や知人の採用
・リファレンスチェック
 前職での仕事ぶりの確認
・SNSチェック
・飲食店での態度チェック
 接客担当に確認

アフリカの諺に以下のものがあります。
「早く行きたければ一人で行け、
遠くへ行きたければみんなで行け」
ただし、会社が飛躍するには
「誰をバスに乗せるのか」
といった問題がつきまといます。
採用の参考になれば、幸いです。

『人を選ぶ技術』(2022,小野壮彦)
『エッセンシャル思考』(2014,グレッグ・マキューン)
『GIVE&TAKE』(2014,アダム・グラント)
『ビジョナリー・カンパニー2』(2001,ジム・コリンズ)